韓国ドラマ 「応答せよ 1988」 何気ない日常に人生のすべてがある! 何もないけど、すべてが満たされていた時代 ソウルオリンピックの韓国の素顔
韓国ドラマ 「応答せよ 1988」
この「応答せよ 응답하라」シリーズは、韓国で大人気だ。
韓国では、
「激しく何もしたくない」
という言葉がはやっている。
それほど、皆が何かに追われている。
そんな中で、過ぎ去った時代が、懐かしく恋しいと、皆が思っているのかもしれない。
1988年、韓国はソウルオリンピックで沸いていた年だ。
物質的には、今の韓国よりはるかに不足していたはずなのに、そんな時代がなぜか懐かしく感じられる。
「応答せよ 1988」の中心は、1988年当時、高校生だった世代だ。
現在は、40代中盤になっている。
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40代半ば、といえば、仕事でも、家庭でも、責任が重く、いちばんたいへんな世代だ。
親も年をとっていき、自分たちが社会の中心になっていく。
そんな世代が、過去の、まだ自分たちが若く、希望に満ちていた時代を振り返り、郷愁にひたるのにはぴったりのドラマなのだろう。
ドラマ「応答せよ 1988」は、まるでその時代にタイムスリップしたように、リアルだ。
今、そこにすべてが存在するかのような感じがする。
冬、寒い韓国では、オンドルが必須。
練炭は必需品だ。
ある家のオモニが、実家の母親がケガをしたので、家を数日留守にすることになる。
夫と、息子二人に、家事のことを説明する。
おかずも冷蔵庫のタッパーにたっぷりと作っていく。
練炭の起こし方から、練炭がなくなったら電話で呼ぶこと、ガス(都市ガスではなくプロパンガスだ)を注文することなど。
だが、母親が家を出た瞬間に、夫と息子たちはやりたい放題だ。
服も脱ぎ散らかし、お菓子もこぼしたい放題。
寝転がって、だらだらテレビを見るのも自由。
晩御飯も、大きなボウルにごはんとおかずを放り込んで巨大ピビンパプをつくり、それを皆でスプーンですくって食べる。
そんな、何気ないことが、とても自由に感じられた記憶を呼び起こす。
とにかく、その時代を生きた人にとっては、懐かしい生活の姿がそこにある。
このドラマは、普通の人たちが登場する。
そう、ほんとうにどこにでもいるような人たちだ。
極貧の時代を耐えて、立身出世する韓国ドラマ「ジャイアント」(イボムス・キムスヒョン)のような世界はそこにはない。
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財閥と大恋愛して大金持ちになるというシンデレラストーリーもない。
日々をたんたんと生きる、庶民たちの日常と、ささやかなエピソードがえがかれるだけだ。
なのに、そこに出てくる人たちが、ほんとうに生き生きとして、魅力的なのだ。
「応答せよ 1988」を見ていると、いつの間にか、自分もその町の住民になったような気がしてくる。
彼らの生活を見ていると、なぜか、心があたたまり、生きる勇気と元気がわいてくるのを感じるのだ。
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