チョンウソン 韓国映画「アシュラ 阿修羅」を見た感想 救いのない時代を生きる人間の暗黒
韓国映画「アシュラ 阿修羅」救いのない映画
韓国語の原題は、
아수라 アスラ
だ。
チョンウソンはついてない。
イケメンの韓流スターのイメージから、映画俳優に変身を遂げようと、挑戦を重ねている。
韓国映画「監視者たち」
でも、暗黒街の仕事人役をクールに徹底して演じていた。
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チョンウソンは悪くない。
だが、映画の完成度がイマイチなのだ。
この映画は、2016年11月に封切られた。
ひと言で言って、救いのない映画だ。
イビョンホンが主演して大ヒットした。
韓国映画「インサイダーズ 内部者たち」
のような、胸がスカッとする、そんな展開もない。
ただ、タイトル通り、
阿修羅の世界
が続く。
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刑事役のチョンウソンが悪の道に踏み込む
チョンウソンは、やくざかと思ったら、刑事だった。
典型的な悪徳政治家である市長パクソンべ(ファンジョンミン)。
その汚れ役を一手に引き受けているのがチョンウソンだ。
チョンウソンがそんな仕事を引き受けているのは、病気の妻のために多額の医療費が必要だったから、というありふれた設定。
映画はただ暴力的なシーンが延々と続く。
進むことも、引き下がることもできない。
生きることが、息がつまるような救いのない世界。
市長の不正を暴く裁判の決定的な証人をおどし、裁判での証言を取りやめさせる。
市長のファンジョンミンは、韓国映画に登場する、典型的な悪いやつそのもの。
ただ、この映画「アシュラ 阿修羅」の中でのファンジョンミンの比重はそれほど大きくない。
ファンジョンミンが出ると観客を呼べるので登場した、そんな印象が強かった。
演技派ファンジョンミンも光らず
演技のうまいファンジョンミンだが、この映画ではそれほど演技力が光っていない。
むしろ、ユアインと共演して大ヒットした、
韓国映画「ベテラン」
での刑事役や、チェミンシク、イジョンジェと共演した
韓国映画「新しき世界」
でのヤクザ役の方がもっと魅力的だった。
こういう老かいな議員役みたいなのを演じるには、ファンジョンミンはまだ若すぎるのかもしれない。
韓国映画「インサイダーズ内部者たち」
に出ていたペクユンシクぐらいの年齢にならないと、こういう役はむずかしいような気がする。
こういうジャンルは韓国では、
노와르(ノワール)
と呼ばれる。
すべての暴力は、カネのために動員され、人間の夢や希望はどこにもない。
政治もすべては権力とカネのために動く。
人間と人間との関係も、自分の欲望をかなえるための道具でしかない。
チョンウソンは、そんな世界にいやおうなしにはまり込み、そこから抜け出すことすらできない。
すべては仕組まれ、陰謀が渦巻く世界。
どこにも正義のない「出口」のない阿修羅の世界
チョンウソンを兄(ヒョン)と慕っていた、チュジフンも市長のファンジョンミンの秘書となることにより、阿修羅の世界に入り込んでしまう。
悪を追う者がいつしか悪その者になる生き地獄。
どこにも正義はない。
パクソンべ(ファンジョンミン)から、決定的な録音を取ってくるように検事に命令されるチョンウソン。
この検事役が、
韓国ドラマ「ファントム (原題 유령 ユリョン)」(ソジソプ・イヨニ・チェダニエル)
や
韓国映画「悪いやつら」(チェミンシク・ハジョンウ)
で有名になった俳優クァク・ドウォンだ。
少なくとも悪を追う立場に見えたくクァク・ドウォンも、やがてその内面の残酷さを見せる。
最後は、ファンジョンミンと対面し、ファンジョンミンの底知れぬ残忍さの前に恐れおののくクァク・ドウォン。
このシーンは、ヤンソギルの小説「血と骨」の中で、主人公が借金を取り立てるために、相手の前で熱い火箸を自らの膝に突きたてるシーンを思い出させる。
ラストまで、胸のすく逆転劇はまったくなく、ただ絶望に向かって映画はひた走る。
ここまで救いのない映画もめずらしい。
韓国政治の反映か?リアルな現実をえがく映画
映画は現実の反映だという。
2016年後半からの韓国の政治の展開が、この阿修羅の世界そのものかもしれない。
現実そのものが「ノアール」になってしまったために、逆に映画がリアリティを欠いてしまう、倒錯した世界だ。
韓国のリアルな空気が、たしかにこの映画の中には存在する。
この映画の中に、それが深く投影しているのはまちがいない。
この映画は、不正と不義がはびこり、言論が弾圧される息づまる社会の中で、出口のない現実を生きる人々の叫びなのかもしれない。
そういう絶望感を、チョンウソンはえがいていた。
別の意味で、この韓国映画「アシュラ 阿修羅」は、韓国映画「監視者たち」よりは、ある意味
人間的な
映画なのかもしれない。
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「ザ・キング」が大ヒットで本物の映画スターに
追記
演技はうまい。カッコいい。背も高い(身長186cm)。なのになぜか作品に恵まれなかったチョンウソンだが、ついに大ヒットを飛ばした。
2017年1月に公開された
韓国映画「ザ・キング」(チョインソン)
映画のサブタイトルは、
大韓民国の王は誰なのか?
というからなんとも意味深な内容だ。
チョンウソンが演じるのは、悪徳検事なのだが、韓国の実際の激動の政治とぴったりマッチしてものすごい人気映画になった。
主演がチョンウソンとチョインソンというイケメン2人が登場するから、それだけでも見る価値あり。
韓国では、検事はいまや
「悪の象徴」
になっていて、国民の非難のまとになっている。
新しい韓国の大統領は、そんな国民の要望を受けて検察の大改革に乗り出したところだ。
そんな韓国政治のなかで、権力をめぐって利権のためにのみ動く検事が暗躍するサマは、現実そのもので、上映のタイミングもぴったりだった。
チョンウソンは映画「ザ・キング」で本物の映画俳優になった。
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