韓流スターウォンビンに見る「兵役後」を生き延びるための戦略 アイドル路線ではもはや勝ち残れない「不都合な真実」
韓流スターにとって、兵役は避けることができない空白だ。
これまでも多くのスターたちが、兵役でファンの前を去った。
みな、兵役前は、アイドルだったが、2年後に帰ってきたときは、すでに大人の男性になっている。
実際に、韓国では、成人してすぐに兵役に行くことが多い。
韓国の兵役年齢は19歳から29歳まで。
ほとんどが20代の前半に兵役義務を果たす。
つまり、高校を卒業してすぐ、とか、大学の2年生くらいで行くことが多い。
だから、韓国には日本でいう
新卒
の概念がない。
23歳や24歳で就職、ということは、不可能なのだ。
男性の場合は、2年の兵役期間があるし、また、大学を卒業しても大学院に進んだり、アメリカやイギリスに留学することも多い。
それは、学歴によって就職の道が決められているからだ。
つまり、学業に専念する期間がとても長いわけだ。
そうすると、必然的に、財力のある家庭の子弟が有利になる。
大学に入っても、授業料を稼ぐために休学する、という深刻な話もあるくらいだ。
韓流スターの場合でいえば、10代や20代で芸能の世界に入り、演技や歌のトレーニングを重ね、ようやく大衆の人気をえたところで兵役、というケースがとても多い。
ほんとうは、20代のはじめに兵役に行っておけばいいのだが、人気が出てくると、次から次へとオファーが来るので、空白期間をつくるわけに行かなくなるのだろう。
だから、兵役に行く時期の判断がとても難しくなる。
そして、結局、29歳、というぎりぎりの年齢になってしまうわけだ。
29歳で入隊すると、除隊したときは31歳だ。
29歳と31歳
たった2年だが、この差は大きい。
31歳になって帰って来た時には、彼らのいた場所には、新しい20代の俳優たちがいるわけだ。
こうやって、結局、その後それほど活躍できない俳優もたくさんいる。
結局、兵役前にいくら人気があっても、2年の空白は大きい。
ファンは移り気だ。
だから、帰って来たときは、
まったく違うイメージ
で勝負するのが正しい。
そういう意味で、成功したのが
ウォンビン
だ。
韓国ドラマ「秋の童話」(2000年)
の青春スターのイメージから、
韓国映画「アジョシ」(2010年)
では、ハードボイルドな大人の男に変身した。
また、兵役後初の作品となる
韓国映画「母なる証明 原題 마더」(監督ポンジュノ・共演キムヘジャ)(2009年)
は、青春スターのイメージとはまったく違う役で、観客に新鮮な感動を与えた。
また、この作品が、入隊後4年ぶりのウォンビンの復帰作となる。
結果的には、4年もの空白期間があったわけだ。
兵役後は、こうやって、大衆が自分に求めるイメージを自らこわすことが必要になってくる。
だから、兵役入隊する韓流スターは、入隊後はまったく別の俳優になって生まれかわってくるぐらいの覚悟が必要なのだ。
それに成功した韓流スターは生き延び、そうでない場合は、自然と大衆から忘れられていくことになる。
ではまた
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